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本学への寄付

学生たちの青春と成長が詰まった集大成! 『山口市カフェ&カレー豆本』制作秘話

 

 2024年12月、菠菜导航网,澳门太阳城赌城と山口県立大学の学生たちが中心となり、地域に根差した個性的な一冊が生まれました。その名も『山口市カフェ&カレー豆本』。山口市内の隠れた名店や話題のカフェ、カレー店等を学生たちの独自の感性で紹介するこの本の制作活動は、2024年度全国地域青年「実践大賞」(日本青年団協議会主催)の「奨励賞」を受賞しました。
 今回は、制作の中心メンバーである本学人文学部4年の別府桜羽子さん、横山響子さん、山城香桜さんの3人に、豆本制作のきっかけや苦労、そしてそこから得た学びについてお話を伺いました。

ニューヨークタイムズ選出が後押し! カフェとカレーに注目した理由

 豆本制作の直接的なきっかけは、「まちづくり広報の助っ人」として活躍する平義彦さんと学生メンバーとの出会いにあります。平さんは、“よそもの”や若者の目で今あるモノやヒトの魅力を取材?発掘し、SNSを含めて地域情報を皆で発信する大切さを訴える一環として、2020年から「グルメ豆本」を発行しています。平さんと学生メンバーが数年前に出会い、意気投合し、山口市を紹介する豆本を作ろうという構想が持ち上がりました。そんな時、山口市がニューヨークタイムズ紙の「2024年に行くべき52カ所」の3カ所目に選ばれたことが重なり、「今こそ作ろう!」と動き出しました。

 企画の段階では幅広いテーマが検討されましたが、「一つの対象を深掘りすることで読者に刺さるものになるのでは」と考え、テーマを絞ることに。過去に5,000部売れた実績のある『カレー豆本』の人気に着目、さらには学生メンバーから「カフェを取材したい」という声が多く上がったことから、カフェとカレーに特化した豆本を制作することが決まりました。

県外出身者が見つけた山口市の魅力

 制作に携わったのは、横山さんからの声かけをきっかけに集まった菠菜导航网,澳门太阳城赌城や山口県立大学に通う学生14人。驚くことに、参加者全員が山口県外出身者でした。メンバーが集まった背景には、進学を機に山口で初めて暮らした県外出身者だからこそ感じられる魅力や発見を発信したいという思いがあったそうです。

 情報収集は、まず実際に店舗を訪れることから始まりました。SNSやウェブサイトも参考にしながら、ターゲット層として若者を意識して店舗を選んでいきました。最終的には、「実際に食べてみて美味しかった」「このお店を紹介したい!」という学生たちの直感を大切に、学生の感性に「刺さる」店舗を豆本に掲載することになりました。

文章も写真も、そして人間関係も……、乗り越えた数々のピンチ

 制作過程は決して平坦ではありませんでした。制作が始まった当初、中心的な役割を担っていた先輩メンバーが抜けるという予期せぬ事態が発生! 別府さんが編集長、横山さん、山城さんが副編集長という立場を担うことになりました。いざスタートすると、メンバーとのコミュニケーションにも課題がありました。メンバーに連絡をするときは、主にメッセージアプリを使ってグループ全体に向けた呼びかけを行っていましたが、なかなか反応が得られず、横山さんは「一人で空回りしているのでは」と悩んだ時期もあったそうです。そこで、後輩のメンバーにもアドバイスを求め、連絡方法を改善したり、メンバー個人とのコミュニケーションを増やしたりすることで、徐々にグループ内の連携を深めていったといいます。

 制作中で最大のピンチは、クラウドファンディング(以下、CF)での資金集めでした。豆本の製作費として目標額30万円で始まったCFでしたが、途中で資金の伸びが止まってしまった時期があったそうです。目標額に達しないと、それまでに集まった資金を受け取れない「All-or-Nothing」形式でのCFだったため、「目標額に届かなかったらどうしよう」と毎日不安で仕方がなかったと、別府さんは当時の心境を語ります。広報活動に力を入れようと試みましたが、初めてのCFということもあり、どうすれば自分たちの活動に興味を持ってもらえるか、頭を悩ませました。山口市内各所へチラシ配りを行ったり、親戚や友人、大学教員にも協力を呼びかけたりと、懸命にPRを行った結果、最終的には目標を大きく上回る45万円が集まりました。

 執筆も撮影も自分たちで行う誌面制作。その中で最も苦労した点の一つが“文字数制限”です。豆本という小さな媒体では、一つひとつの紹介文がどうしても短くなってしまいます。短い字数でカフェやカレーの魅力とともに店主の想いを伝えるのは至難の業。「どう削ろうかとずっと悩んでいた」と3人は振り返ります。平さんから毎回「長いです」と指摘を受けつつ、豊富な経験からの的確なアドバイスを受けながら、より良い誌面になるよう校正を重ねました。

 取材交渉や広告営業の難しさも経験しました。豆本作りのために、取り上げたい店舗への取材申し込みはもちろん、県庁や市役所、観光協会など様々な方へ協力依頼の電話連絡をしました。ところが、実績のない学生団体への対応はまちまちでした。時には電話口での対応を冷たく感じたり、自分たちの活動の説明に苦労したりと、多くの壁にぶつかりました。しかし、実際に会って話をすると学生に対して親身になって協力してくれる方が多く、時には開発中の新メニューを試食させていただくなど、直接会っていくうちに徐々に関係性を構築していきました。数々の困難にもめげず、完成に向けて一歩ずつ前に進んでいったのです。

奮闘の先に得た大きな成長

 こうした経験を通して、「やるしかない状況に追い込まれたら、腹をくくって、やる」という困難を乗り越えるたくましさが身についたと3人は語ります。特に、メンバー間のコミュニケーション改善や、タスク管理の重要性、人を頼ることと自分で引き受けることのバランスなど、プロジェクトを進める上で重要な要素を身をもって知ることができたのは大きな学びでした。

 今回の取材は、学生メンバーが持っていた山口市へのイメージも変えました。3人は当初、「ニューヨークタイムズ紙に選ばれても、そのことを街であまり活かしきれていないのでは」と思っていたそうです。しかし、取材を通じて「山口をもっと盛り上げたい」「自分の店を通じて山口を知ってもらいたい」という熱意を持った経営者が大勢いることを知り、「山口市を活性化しようと頑張っている人がこんなにたくさんいるんだ」とその存在を間近に感じて、街へのイメージが変わったと語ります。

 また、多くの場所で山口の人々の温かさにも触れました。取材に行った際には、忙しいにも関わらず非常に丁寧に時間を割いてくれる人が多かったといいます。コーヒー店の店主はコーヒー豆をたくさん並べてその違いについて熱心に語り、うどんチェーン店の社長は確認原稿を送った学生に直接電話をかけ感動を伝えてくれただけでなく、完成した本の納品時には御礼にオリジナルトートバッグをプレゼントしてくれたそうです。こうした人との出会いが、学生たちの心に深く刻まれました。

「自分だけの思い出をつくる一冊に」読者へのメッセージ

 この豆本をどのような人に読んでほしいかという問いに、3人は「山口にいる人、そして山口県出身で今県外にいる人」と答えました。別府さんは、「『山口には何もない』と思っている県内出身の学生にこそ読んでほしい」と語り、「実際に自分の足で歩くことで、たくさんの魅力を見つけることができる」とメッセージを送ります。山城さんは、「この豆本を使って、山口市や山口県の思い出を残してほしい」という思いを強調しました。取材を通して自分たちが友人たちと街を巡り、そこに暮らす人々と出会い、美味しいものを食べて楽しい思い出ができたように、「読者にも自分だけの山口の思い出を作ってほしい」と願っています。

 最後に、「自分にとってこの“豆本”とは何か」と3人に尋ねると、別府さんは「成長の源」、横山さんは「学生時代の集大成」、山城さんは「青春」と、それぞれ異なる、しかし深く響く言葉を口にしました。困難を乗り越え、地域の人々と関わり、仲間と共に一つのものを作り上げた経験は、かけがえのない宝物になったようです。

 『山口市カフェ&カレー豆本』は菠菜导航网,澳门太阳城赌城生協などで発売中。この豆本を手に、山口の街を歩いてみませんか? きっと“あなただけの豆本”となるような素敵な思い出が生まれるはずです。学生たちの情熱と成長が詰まったこの一冊が、多くの人にとって山口市の魅力に触れるきっかけとなることを願っています。

 

取材?執筆:菠菜导航网,澳门太阳城赌城総務企画部総務課広報室(取材日:2025年4月30日)

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